2010 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期初期から後期にかけての他者理解の発達過程に関する観察・実験的研究
Project/Area Number |
20530587
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩田 美保 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00334160)
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Keywords | 他者理解 / コミュニケーション / 会話 / 談話 / 社会的文脈 / 内的状態 / 関係性 / 言語行動 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的は「幼児期初期から幼児期後期にかけての他者理解」について言語行動および社会的文脈における言語的コミュニケーションに着目しながらその発達的仮説を実験と観察に基づいて見出すことである。今年度は以下のデータ収集および分析を行った。 観察の施行と分析:幼児期の社会的文脈においてどのような他者理解に関わるコミュニケーションが行われているかを検討するために、2010年4月~2011年3月まで1年間にわたり幼稚園において3~6歳児の縦断的観察により基礎データの収集を行った。データの一部については2011年5月に開催予定の日本保育学会で発表予定である。さらに、家庭場面については、3人きょうだいをもつ家族の家庭場面の縦断研究から、他者理解を支える家族の会話(ネガティブな感情についての会話)について着目し、2010年8月家族心理学会、2011年3月日本発達心理学会(震災のため会場には非参集)等にて発表・報告した。これらにより、2009年度に収集された保育園児(1~3歳児)のデータと合わせ、集団保育の場(仲間関係)と家庭場面におけるやりとりに関する基礎データの収集・整理が進みつつある。今後は、上記を統合し、学童期への連続性も視野に入れながら、幼児期初期から幼児期後期にかけての社会的文脈における他者理解に関わるコミュニケーションプロセスについて、より総合的な検討を行っていく予定である。実験の施行と分析:物語の登場人物の内的状態への言及について調べるための作話実験を、幼児を対象とした結果との比較を行うために、2010年9月に千葉県内の小学校2校において行った。現在、これまでの幼児・児童を対象とした実験データとも合わせ、就学移行期にかけての変化も視野にいれながら、幼児期全体にわたる発達プロセスについて分析を行っている。
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