2008 Fiscal Year Annual Research Report
青年期から成人期前期までのアイデンティティ発達のプロセスとメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
20530592
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉村 和美 Nagoya University, 発達心理精神科学教育研究センター, 准教授 (20249288)
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Keywords | 教育系心理学 / 生涯発達 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、(1)長期縦断研究により関係性のレベルから見たアイデンティティの発達的な方向性を検討するとともに(研究1)、(2)短期縦断研究により関係性のレベル変化のメカニズムを明らかにすることを目的とする(研究2)。20年度は、長期縦断研究により関係性のレベルから見たアイデンティティの発達的な方向性の検討(研究1)、および短期縦断研究により関係性のレベル変化のメカニズムの方法論の検討(研究2)を行った。このうち研究1では、12名の成人期女性を対象に大学卒業後12年目時点での面接調査を行い、関係性のレベル、前回の調査時点からの関係性のレベル変化に関わる要因、レベル変化の途上の状態についての主観的認識に関する語りデータを収集した。対象者は約20名を予定していたが、対象者の都合等により年度内に全員の実施ができなかったため、調査は現在継続中である。研究2については、大学生1年生170名を対象にした5週間の短期縦断研究を行った。大学新入生が直面しやすい学び領域のアイデンティティの危機に焦点を当て、他者(本研究では同じ学生の仲間)との対話からアイデンティティが構築されるプロセスを検討した。その結果、1)他者との対話を通してアイデンティティが発達すること、2)学生の仲間によるアイデンティティ発達を促進する働きかけには次の5つのあることが明らかになった:identity concern, identity goals, identity clues, companionship, bridging。この結果は、関係性のレベル変化の際に、実際の他者のどのような働きかけが有効であるのかを明らかにした点で意義がある。また、他者の働きかけが青年の視点の中にどのように組み込まれてアイデンティティとして結実するのかを、リアルタイムで捉えることのできる可能性を示唆する点で、今後の研究の展開にとって重要である。
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Research Products
(1 results)