2009 Fiscal Year Annual Research Report
青年期から成人期前期までのアイデンティティ発達のプロセスとメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
20530592
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉村 和美 Nagoya University, 発達心理精神科学教育研究センター, 准教授 (20249288)
|
Keywords | 教育系心理学 / 生涯発達 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、(1)長期縦断研究により関係性のレベルから見たアイデンティティの発達的な方向性を検討するとともに(研究1)、(2)短期縦断研究により関係性のレベル変化のメカニズムを明らかにすることを目的とする(研究2)。このうち21年度は、研究2のうち大学新入生を対象にした15週間の短期縦断研究を実施した。具体的には、大学1年生12名が参加する全学教養科目をフィールドとして、学生同士のグループ討論を通した関係性のレベル変化を捉えるデータを収集した。アイデンティティの領域は、大学新入生にとって重要な課題である「学び」、「恋愛」、「将来」の3つであった。手続きとしては、15週間を3期に分け、学び、恋愛、将来の順に、学生による3名1組のグループ討論を実施し(逐語録を作成)、グループ討論前後の関係性のレベルを質問紙で測定した。また、毎回のグループ討論の後には、討論に対する学生自身の内省報告の記述も求めた。さらに、3つの課題全ての討論を通したアイデンティティの発達を確認するために、15週間の最初と最後にアイデンティティの感覚の程度を質問紙で測定した。この短期縦断研究は、他者(本研究では仲間)の働きかけが青年の視点の中にどのように組み込まれてアイデンティティとして結実するのかを、リアルタイムで捉える試みであった。データは現在分析中であり、成果が出るのは来年度になる。
|