2008 Fiscal Year Annual Research Report
中学生のカウンセラーに対する被援助志向性を高めるための介入プログラムの開発
Project/Area Number |
20530594
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
水野 治久 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 准教授 (80282937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 豊一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (10348154)
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Keywords | 被援助志向性 / スクールカウンセラー / 情動コンピステンス / 中学生 / 質問紙調査 / 援助要請 / 学校心理学 / コミュニティ心理学 |
Research Abstract |
平成20年度は本研究の基礎的な調査を行った。関西圏公立A中学校438名を対象に調査を行い359名のデータを分析した。この調査は中学生の情動(感情)コンピテンスと被援助志向性の関連を検討するために行われた。測定具は豊田・桜井(2007)の情動コンピテンス尺度と水野(2007)が開発したスクールカウンセラーに対する被援助志向性尺度の援助の肯定的側面(6項目)と援助に対する懸念・抵抗感の低さ(5項目)が使用された。情動コンピステンス尺度は因子分析され<周囲の情動の理解(α=.75)>,<情動の利用(α=.74)>,<自己の調整(α=.76)>が抽出された。情動コンピテンスの各因子と援助の肯定的側面は.25〜.34の低い相関が確認された。低い相関ながらも先行研究の結果を支持した。次に,周囲の人の情動の理解,自己の情動の調整をM±1/2SDで三分割し,その上位群と下位群の組み合わせで,(1)周囲の人の情動の理解・自己の情動の調整ともにH群(N=52),(2)周囲の人の情動の理解L群・自己の情動の調整H群(N=19),(3)周囲の人の情動の理解H群・自己の情動の調整L群(N=26),(4)周囲の人の情動の理解・自己の情動の調整ともにL群(N=67)と被援助志向性の関連を検討した。その結果,<援助の肯定的側面>で情動4分割の主効果が認められた(F(3,160)=7.177,P<.01)。多重比較の結果,(3)周囲の人の情動の理解H群・自己の情動の調整L群,(4)周囲の人の情動の理解・自己の情動の調整ともにL群より(1)周囲の人の情動の理解・自己の情動の調整ともにH群の生徒の<援助の肯定的側面>が有意に高かった。自己の情動の調整と共に周囲の人の情動の理解も大切である可能性が示唆された。
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