2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 純 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (00116691)
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Keywords | 日本語音読 / 基本周波数 / 持続時間 / 吃音 / 黄金語 / 母音フォルマント |
Research Abstract |
日本語の音読において吃音者と健常者を対象とした研究で成果を得た。Yamada & Homma (2010)では、A1-B1-A2-B2(Aは聞き手あり、Bは聞き手なし)条件で、吃音者1名を事例として同一文章の5回の音読の韻律特徴を分析した。 重要な結果として、聞き手あり条件で、吃音率の上昇、音読速度の減速、基本周波数の低下が観察され、聞き手存在による不安効果を実証した。これは、不安惹起が吃音者の発話の韻律に悪影響を示すものであり、ほかの特徴の探求の必要性を示唆する。この事例研究の結果を受け、本間ほか(2011)では、吃音群と非吃音群を対象に、聞き手ありなし条件での音読を録音し、吃音群において聞き手あり条件で不安値の上昇、吃音率の増加、母音空間の縮小を観察した。健常者では、有意でないものの、不安値上昇が認められたが、これは吃音-非吃音が連続的であるとする仮説をたてるなら、重要な意義をもつ。英語音読を日本人学生に求める場合、異言語である英語がもたらす不安値は、発話韻律に影響を与えることが考えられる。昨年度の日本人英語学習者の発話における母音縮小を報告したが、その縮小の一部は不安値を反映しているかもしれない。 しかし、日本人学習者の英語音読の研究については、aboutの場合、第1音節の母音持続時間が長く、曖昧母音になっていないことを確認し、英語韻律に近づけるため、この語を黄金語として、boutとして発音すべきであることをも提案した。英語2音節名詞は、強弱型が基本であるので、とくに語頭の曖昧母音は削除してもコミュニケーションに支障をきたすことはほとんどなく、このパターンは、again, apart, attack, assume, arriveなど汎用性が高い。これらを基礎に、wind chill, attack thisなどのパターンへのつながりを展開中である。
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Research Products
(3 results)