2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における映像の表象性理解の三段階発達モデルの精緻化とその検証
Project/Area Number |
20530600
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
加藤 義信 Aichi Prefectural University, 文学部, 教授 (00036675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 美奈子 愛知県立大学, 文学部, 非常勤講師 (50457917)
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Keywords | 映像理解 / 幼児期 / 表象 / テレビ / 写真 |
Research Abstract |
本研究では、幼児期の子どもがテレビや写真などの映像を現実と区別し、映像が現実の写し(表象)であることをどのように理解するようになっていくか、についての三段階発達モデルの精緻化を目指している。そのため、本年度は、まず、哲学や記号論などの心理学関連領域の「シンボル」に関する議論を取り上げた文献を渉猟し、三段階モデルの中間段階として想定した「シンボルと指示対象が分化しつつ、ときに混同される段階」をよりいっそう深めるための豊富な知見を得た。具体的には、精神医学者・木村敏の「realityとactuality」に関する議論や、アフォーダンス論、ワロンの情動論などが、本研究のモデル構成にとってたいへん有益な知見を提供していることがわかった。続いて、シンボル媒体の性質理解を幼児に促す手続きが、中間段階から次の「シンボルを指示対象の写しとして理解する」段階への移行を促進するか否かを実証する試みとして、ビデオカメラと映像の関係を幼児に説明し実演する条件を導入した実験を予備的に行ってみた。しかし、十分な条件効果のみられる結果が得られなかったので、改めて、ビデオ映像よりもいっそうシンプルな映像理解である写真に焦点を当てることとし、三段階モデルの中間段階の反応が写真理解においてどのように現れるかを、ビデオ映像では検討対象にしてこなかったfunctional realismとproperty realismの理解の差異を中心として調べる実験を行った。結果は現在分析中であるが、この実験パラダイムは、三段階モデルの精緻化にとって新たな知見を得るのにたいへん有望であるとの感触をつかんでいる。
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