2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530601
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
古橋 啓介 Fukuoka Prefectural University, 人間社会学部, 教授 (70125780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 教授 (80094085)
出口 毅 山形大学, 教育文化学部, 教授 (60241684)
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Keywords | 高齢者の認知 / 記憶機能の発達 / 介入訓練 |
Research Abstract |
古橋は2つの実験を行った。第1実験は、8週間め計算訓練であった。健康な高齢者の記憶機能が、毎日の計算訓練の遂行のみで向上するか検討した。最終的に有効な被験者は実験群18名、統制群23名であった。平均年齢は約71歳であった。訓練の前後に短期記憶課題、長期記憶課題、作動記憶課題、意味記憶課題、メタ記憶課題、主観的幸福感、PCGモラールスケールを実施した。結果は記憶能力、メタ記憶能力、主観的幸福感のいずれにも効果は見られなかった。第2実験は、第1実験と同じ目的で5週間の計算訓練が行われた。毎週1回全員で集まり、実験者とのコミュニケーションによる強化を少し受ける条件であった。結果は実験1と同様に、自宅で毎日計算訓練を行うことのみでは記憶能力、情意的検査課題に効果は見られなかった。 吉田は健康高齢者に学習療法を用いた計算課題遂行の効果との比較の中で理論的検討を行った。吉田は継続的に学習療法を用いて音読課題・計算課題を6ヶ月間行う条件で記憶課題や情意的検査課題による効果を測定している。その結果では記憶課題や情意的検査課題の多くに改善の効果が見られたことから、コミュニケーションの有無が重要な要因であることを示唆している。 出口は小学3年生59名、小学4年生71名、小学5年生70名、小学6年生57名、大学生70名を対象に短期記憶、作動記憶、長期記憶、意味記憶の発達的変化を調査した。青年期までの各記憶過程の発達過程が測定された。2009年度に行う成人期以降の結果と併せて、記憶の生涯発達過程を明らかにし、訓練効果を理解するための資料とする。
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