2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530601
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
古橋 啓介 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (70125780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 特任教授 (80094085)
出口 毅 山形大学, 教育文化学部, 教授 (60241684)
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Keywords | 高齢者の認知 / 記憶機能の発達 / 介入訓練 |
Research Abstract |
古橋は2実験を実施した。第1実験では健康高齢者に12週間毎日簡単な計算課題50問への取り組みを行ってもらった。対象者は最終的に、実験群13名、統制群10名であった。平均年齢は実験群73.9歳、統制群70.0歳であった。計算課題遂行の前後に、短期記憶、長期記憶、作業記憶、意味記憶、メタ記憶、脳機能測定尺度としてFAB、心理的適応尺度としてPGC(主観的幸福観)、GDS(うつ傾向尺度)を測定した。実験群と統制群の間に、記憶の各尺度及びFAB、 PGCに有意な差はなかった。GDSに交互作用が見られ、うつ尺度が実験群で改善した。第2実験は訓練期間を22週間と長くして健康高齢者を対象に検討した。最終的に実験群は16名、平均年齢は78歳6ヶ月であった。統制群は10名、平均年齢は76歳8ヶ月であった。訓練課題と訓練前後の心理的尺度は第1実験と同じものを用いた。その結果、実験群は作業記憶の遂行量が統制群と比較して有意に伸びた。作業記憶の機能改善に効果があることを示唆した。 吉田は学習療法との比較から古橋、出口の結果に対して理論的考察を加え、訓練の効果訓練時のコミュニケーションの量が関与すると考察した。 出口は健康高齢者の記憶遂行量の変化状況を調査するために、40代30名、50代18名、60代6名、70代10名、80代2名を対象に記憶課題を用いて調査した。その結果、60代以降における作動記憶、短期記憶、長期記憶における減退状況が見られた。一方、意味記憶の減退は遅れることが分かった。健康高齢者に対する認知訓練の可能性と制限と、訓練は60代から開始することが望ましいことが示された。
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