2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530601
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
古橋 啓介 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (70125780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 甫 立命館大学, 衣笠研究機構, 特任教授 (80094085)
出口 毅 山形大学, 教育文化学部, 教授 (60241684)
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Keywords | 高齢者の認知 / 記憶機能の発達 / 介入訓練 |
Research Abstract |
古橋は訓練課題として回想法を用いることの効果を検討した。2008年度と2009年度には5週間から計算22週間に及ぶ計算訓練の効果を検討してきたが、記憶機能のどの側面にも効果は見られなかった。2010年度は高齢者の心理的側面の改善の効果があることが知られている回想法を用いることの効果を検討した。実験群は22名であったが最終的に18名(平均78歳6ヶ月)、統制群は10名であったが最終的に8名(平均75歳4カ月)であった。個人回想法を5回行い、効果を統制群と比較したが、結果は記憶機能、脳機能、心理的尺度のいずれにも効果は見られなかった。計算訓練のみでも、回想法のみでも健康高齢者の記憶機能を改善することはできなかった。 吉田・古橋は古橋の結果や吉田の学習療法の結果から、単独の訓練課題を実施することでは認知訓練の効果が得られないとする他の研究と同様の結果であると考え、多様相訓練開発の重要性を指摘した。 出口は記憶の生涯発達の様相を明らかにするため、平成20年度、平成21年度に得られた資料に加えて本年は高齢者を中心とした調査を行った。50歳代6名、60歳代2名、70歳代3名、80歳代1名の計12名に調査した。得られた全資料は小学生257名、大学生81名、40歳代~80歳代78名の計416名であった。Z得点に変換し比較したところ、意味記憶は40歳代を最大値として増大しその後減少の変化、短期・長期記憶は大学生を頂点として増大しその後減少の変化が明らかにされた。記憶過程の違いで変化の様相が異なること、従来多くの研究で得られている結果より最大値の年齢が若いことが示された。
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