2009 Fiscal Year Annual Research Report
生徒間暴力の被害者が安心して通報できる制度づくりについての実証的検討
Project/Area Number |
20530602
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Research Institution | Gunma University of Social Welfare |
Principal Investigator |
大野 俊和 Gunma University of Social Welfare, 社会福祉学部, 准教授 (70337088)
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Keywords | 生徒間暴力 / 被害者 / 内部通報 / いじめ / 校内暴力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、学校内での生徒間暴力の被害者がその被害を通報する際に生じる不安、すなわち、"通報不安"を減少させる制度的・構造的要因について実証的手法を用いて検討することである。 本年度は、進学塾での質問紙調査と、学校やフリースクールの教員や教育委員会職員へのヒアリングを中心とした聞き取り調査を実施した。質問紙調査結果は現在のところ分析中であるが、主に学校で生じた生徒間の事件を通報する制度に関する学校側の認知と生徒や親の認知との相違について検討している。聞き取り調査の結果、生徒間暴力は、昨今注目されているドメスティックバイオレンスや親による児童虐待とは異なり、具体的な対応の際にどのようにすべきかの指針が現場レベルでは判断が必ずしも一致しない可能性を指摘した。また、クラス担任は、事件が生じた場合、学校レベルの対応よりも、個人レベルでの対応を好み、通報がまず何よりもクラス担任に向かうのを好んでいる可能性を指摘した。そして、いじめに関わっていた生徒の聞き取り調査において、インタビュイーが発した「みんな、周りの生徒、友達」という用語に注目して内容分析を行った結果から、たんなる個人間のトラブルが、しだいに複数の友人やクラス全体のルールを破った者への制裁という枠組みで処理されていき易い点、そのために、問題が通報されにくくなる点を指摘した。
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