2008 Fiscal Year Annual Research Report
保育教育困難幼児に対する認知特性を生かした保育支援
Project/Area Number |
20530606
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
秦野 悦子 Shirayuri College, 文学部, 教授 (50114921)
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Keywords | 保育教育困難 / 認知のアンバランス / 障害児保育 / 発達アセスメント / 特別ニーズ保育 / インクルージョン / 軽度発達障害 / 保育臨床 |
Research Abstract |
【内容】申請者が長年関わっている自治体であるK市公立保育所全73園の3歳児クラス以上に在園している幼児の全数調査により、知的に明らかな遅れがないが園生活での保育教育困難幼児を指摘された子どもの分析から以下の結果を得た。第一に、担任が保育困難を感じるのは、3歳児クラス〜5歳児クラス全在園児(4,806名)の12%(580名)であった。第二に、保育集団の中で示される保育困難は、次の6つの要因から構成された。すなわち、(1)衝動や攻撃、(2)一方的主張、(3)情動コントロール、(4)活動参加困難、(5)不器用や場適応、(6)不注意であった。第三に、保育困難幼児への対応で保育者が具体的に直面していることとしては、上述の保育困難を構成する6つの要因にとどまらず、安定した保育面での対応の基礎となるような育ちの問題として、(1)保育士への依存や注意ひき行動、(2)活動会費や意欲の乏しさ、(3)生活習慣、(4)コミュニケーションの希薄さ、(5)養育環境などが指摘された。第四に、保育困難を感じる幼児の男女の比率に差がなく、低年齢でも、その、は顕著であった。 【意義・重要性】(1)データは公立保育所全園の全数調査として資料的価値が高い。(2)幼児期における保育教育での特別な配慮を要する幼児は12%をめやすとして支援システムを構築する基礎データを提供した意義がある。(3)特別な配慮を要する保育困難幼児への外部の専門家との連携開始を3歳とし、保育支援を実施しながら幼児期から学齢期にいたる育ちをフォローする必要性が指摘されたことは実践的価値が高い。
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