2010 Fiscal Year Annual Research Report
保育教育困難幼児に対する認知特性を生かした保育支援
Project/Area Number |
20530606
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
秦野 悦子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (50114921)
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Keywords | 保育教育困難児 / 認知特性 / 認知のアンバランス / 発達アセスメント / 教育系心理学 |
Research Abstract |
「保育教育困難幼児に対する認知特性を生かした保育支援」においては、保育所または幼稚園など幼児集団に通う子どものうち満3歳以上で、明らかな知的障害を伴わないが、行動面・社会面の問題により保育者が保育困難さをもつ子どもを対象に、その特性を明らかにし、保育支援に向けての方向性を明らかにすることを目的として計画された。より具体的に述べると、(1)認知特性、特に認知処理過程のアンバランス、プランニング、注意などを査定する心理学的バッテリーを実施市、個人の特性を明らかにすること、(2)日常保育活動のうち、あらかじめ選択したいくつかの場面のビデオによる行動観察を分析し保育教育困難児としてとらえられる特徴をしめすこと、(3)上記で述べたような類型化された査定結果と日常行動観察との詳細な対応比較分析を行なうこと、(3)幼児期の教育保育現場で保育者が活用しうる「保育困難幼児に対する認知特性を生かした保育教育支援」に向けての試案を作成することをめざした。 その結果、(1)保育者がとらえた知的遅れのない保育困難幼児の特徴として「衝動性」、「一方的コミュニケーション」、「場面の切りかえ」、「不器用・新奇場面での適応」、「活動参加」の5つの要因がとらえたれた。(2)保育教育困難幼児に対しての個別特性を明らかにするため、新版K式発達検査で認知のアンバランスが予測された幼児に対してWISC-III、K-ABC、およびDN-CASでとらえられる認知特性をみると、検査においては、認知のアンバランスなどの特性がとらえられる事例と、必ずしも認知のアンバランスがとらえられない事例がみられた。(3)検査結果の類型と日常行動観察の不一致事例については、日常保育との詳細な比較対応を行い、継続的な保育支援の方向を明らかにした。(4)就学支援に焦点をあてて、ニーズに基づくアセスメント、専門家との連携と協働、保小連携についてのあり方を明らかにした。
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