2010 Fiscal Year Annual Research Report
対人関係の基盤となるソーシャルスキルの認知及び表現の発達的解明と教育的支援
Project/Area Number |
20530608
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 圭一 法政大学, 文学部, 准教授 (70366821)
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90337733)
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Keywords | 対人関係 / ソーシャルスキル / 認知 / 表現 / 発達 / 読み聞かせ / いじめ / 自尊心 |
Research Abstract |
<基礎的研究>思いやりを育てるプログラムにおいては絵本の読み聞かせが重視されてきた。そこで、どのような読み聞かせの表現が受け手の物語への共感性を高めるかについて探索的に検討するため、6名の話し手が5歳または15歳の子供を聞き手として想定した条件で行った読み聞かせの音声を刺激に用いた聴取実験を行った。大学生22名を対象に実験を行った結果、5歳向けの読み聞かせのほうが15歳向けの場合よりも全体的に上手に聞こえ、聞き手を引き込む効果があることが示された。また、このような評価が、抑揚の大きさや話す速度に対する聞き手の印象と関連していることが示唆された。 <実践的研究>実践研究では「感情」に焦点を当てた実践については高校生を対象に4月から実施した。東京都内および長野県の公立高校行で実施した。「自尊心」「感情の受容」といった内容の感情にまずしぼって実践効果を検討した。気持ちを理解する、および伝えるという点に焦点を当てるとともに、自尊心についてセッションを設定した。ソーシャルスキルとの関連を見るため各ターゲットスキルについてのアセスメントも行い、ソーシャルスキルだけでなくターゲットスキル別にも効果を明らかにした。また、セッション後の般化・維持について、行動リハーサル条件とメタ認知条件のセッションを設定し、比較した結果、メタ認知条件の方が般化維持効を維持することが明らかとなった。また、教育的支援については、教員側も模擬授業によってプログラムの理解が促進され、その結果生徒にも肯定的な影響が及ぼされることが明らかとなった。中学校の実践は、静岡市内中学校1校で行った。プログラム実施校とプログラム非実施校のデータを比較したところ、中学生用社会的スキル尺度の下位尺度のいずれも有意な差は見られなかった。中学生用自尊感情尺度では、「対人不安」と「劣等感」において、プログラム実施校で改善傾向が認められた。さらに中学生用レジエンス尺度においては、「関係志向性」において、プログラム実施校で改善されたことが明らかになった。
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Research Products
(11 results)