2008 Fiscal Year Annual Research Report
高校におけるコンフリクト転換のための心理教育的プログラム開発
Project/Area Number |
20530610
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 孝代 Meiji Gakuin University, 心理学部, 教授 (30242225)
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Keywords | 高校 / ステークホルダー / コンフリクト転換 / 心理教育的プログラム / 個人別態度構造分析 |
Research Abstract |
頻発するいじめや校内暴力などの生徒の問題行動の解決、および教員間、教職員とスクールカウンセラー、学校側と保護者との対立など広く学校現場に存在するコンフリクト解決の課題は、コミュニティ心理学的問題として認識することが必要である。 本研究は、ある公立高校における教職員が学校勤務中に経験したコンフリクトをどう認識しているかの実態を個人別態度構造の手法により明らかにすることを目的とする。このことにより高校内における様々なコンフリクトに対し、コミュニティカウンセリング・アプローチによる生徒・教師などへの直接的・間接的なコンフリクト転換プログラムを開発するための基礎資料を得ることが期待できる。 今年度は研究計画に従い、ある高等学校のステークホルダーのうち、教頭と養護教諭と2名の主任教員からレパートリーグリッド法とPAC分析を用いて個人別に態度構造分析を行った。それぞれの個人がステークホルダーとして学校の中でどのようなコンフリクトを感じているかを10項目程度語ってもらい、それらの関係について多次元尺度法やクラスター分析を使って可視化した。その布置図や樹状図に基づいて、研究者との対話を行い、本人の学校内で経験したコンフリクトの内容を詳しく語ってもらった。学校内での職務の異なる4名はそれぞれコンフリクトの具体的内容は異なっているものの、対人的な人間関係の葛藤が大きな位置を占めているという共通点が明らかとなった。 教職員間の円滑なコミュニケーションの不足で、教育現場においてお互いが何を大事にしているかということを、学校の日常場面ではなかなか表明しないし、相互の確認も出来ていないことが問題であることが示された。また、そのことが原因で、対人関係の対立やこころの葛藤をひきおこしていること、および教師と学校内の職務役割の遂行というコンフリクトを抱えていることが浮き彫りとなった。
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