2010 Fiscal Year Annual Research Report
高校におけるコンフリクト転換のための心理教育的プログラム開発
Project/Area Number |
20530610
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 孝代 明治学院大学, 心理学部, 教授 (30242225)
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Keywords | コンフリクト / 高等学校 / ステークホルダー / メンタルヘルス / ピア・メディエーション / テキストマイニング / アクションリサーチ / バーンアウト |
Research Abstract |
最終年度である本年度では、(1)高校のステークホルダーに対するコンフリクトの調査研究、(2)ピア・メディエーションを高等学校レベルで行う実践的研究(アクションリサーチ)、そして(3)平和教育の一環としてのコンフリクト解決教育のプログラムとその評価という3つの軸を中心に研究活動がおこなわれた。 (1)井上・いとう・飯田(2011)として印刷中の論文の基盤となったのは、高等学校のステークホルダーの葛藤対処方略スタイルと適応をあきらかにするための関東の高等学校に依頼した質問紙調査であった。そこでは、教職員のバーンアウト傾向及び学校特性の認知との関連を明らかにすることが出来た。 (2)また本年度は、いとう・水野・井上(2010)で紹介したように、紛争解決法としてのピア・メディエーションに着目した。関西のM高校でのワークショップ活動に参加観察したのでほうこくした。その講習会の内容と参加者の感想文の分析は現在進行中である。 (3)さらには、コンフリクト転換を重視した平和教育とその評価について検討した。具体的には、カルトゥング平和理論を主軸にした教員免許更新講習を小中高教員におこなったので、その内容とプロセスを紹介するとともに、プログラム評価としてテキストマイニングの手法により、参加者の感想文を分析し、いとう・杉田・井上(2010)として公表した。 以上の3つの軸での研究により、(1)教師の持っているコンフリクト解決方略と本人のメンタルヘルスとの関連が強いことが明らかになり、(2)コンフリクト解決教育を実際にピア・メディエーションとい形で現場に実現している試みの重要性を指摘し、さらに(3)コンフリクト解決教育の教職員向けのプログラムが時間的制約があっても有効であり、参加者の満足度が高いことを指摘できた。これらは高校におけるコンフリクト転換のための心理教育的プログラム開発のための基礎資料となるものである。
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