2008 Fiscal Year Annual Research Report
不妊治療を経て親とならない夫婦における夫婦関係と生涯発達
Project/Area Number |
20530616
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
小泉 智恵 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所社会復帰相談部, 協力研究員 (50392478)
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Keywords | 不妊治療 / 生涯発達 / 夫婦関係 / 縦断研究 / 発達心理学 |
Research Abstract |
不妊治療を経て親になるかどうかは不妊治療中はわからないので、不妊治療中の夫婦を対象にまず質問紙調査を実施し、そのうち協力を得られた場合にインタビュー調査を実施することとした。質問紙調査の協力者の募集は、1)高度生殖補助医療を実施する不妊治療施設、公的保健機関(関東、中部、関西、九州地区)でポスター、チラシを設置した、2)当事者団体のホームページや掲示板に募集記事を掲載した、3)一般向けの不妊に関する全国雑誌で募集記事を掲載した。いずれにおいても協力してもよい場合は、調査のホームページにアクセスし、登録してもらった。現在もまだ調査継続中であるが、約130組の夫婦から調査協力を得た。不妊受容尺度を開発し、不妊に対する受容と不妊ストレス、夫婦関係などとの関係を検討している。次に、インタビュー調査では、6組の夫婦から協力を得て、コミュニケーション実験、夫婦それぞれの個別面接をおこなった。2009年度も引き続き行っていく。 不妊治療を経て親とならない夫婦の生涯発達について、子どもを持つ場合と比較して議論するシンポジウムを日本発達心理学会にて開催した。シンポジストは、生殖医療現場の心理士、心理学研究者、地域の子育て支援の心理士であった。シンポジウムとしての結論では、不妊を経ての生涯発達は、1)夫婦関係が相互にサポーティブで夫婦で不妊という課題に取り組むならば、到達点は子どもがいる夫婦が夫婦で子育て課題に取り組んだ場合と同等である、2)不妊も育児も遂行すると、外的ローカスオブコントロールが高くなる、3)不妊は治療による喪失体験を多重に負っている点で子どもがいる場合と生涯発達が異なる、であった。これらを踏まえて不妊を経て親とならない夫婦の生涯発達理論を提示していきたい。
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Research Products
(3 results)