2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530619
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
織田 信男 Iwate University, 人文社会科学部, 准教授 (80250645)
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Keywords | 非対面心理療法 / ブログ / 日記 |
Research Abstract |
非対面心理療法の-翼を担う日記とブログが書き手の心理的健康に及ぼす効果を検討した。具体的な研究仮説は2つである。1. 電子媒体のブログは紙媒体の日記に比べて他者をより強く意識するので、筆記内容がより肯定的になる。2. 日記またはブログの記述内容が否定的内容よりも肯定的内容のほうが心理的健康度はより高い。 参加者は279名の大学生で、新しい抑うつ性自己評価尺度(島他, 1985)を含んだ質問紙に記入させ、4つの条件群の各抑うつ平均値が22点以上になる54名を分析対象とした。独立変数は伝達媒体条件(日記VSブログ)×記述内容条件(肯定VS否定)であり、抑うつ得点に差が認められないように参加者を無作為に割り当てた。伝達媒体条件は2回実施した。従属変数は、他者意識度、内容評価度、新版STAI(肥田野他, 2000)、新しい抑うつ性自己評価尺度、主観的幸福感尺度(伊藤他, 2003)であった。 結果は、日記よりもブログ条件では他者をより強く意識し、肯定的記述内容条件では伝達媒体条件の間に差は認められなかったが、否定的記述内容条件では日記よりもブログで記述内容がより肯定的であったことが確認された。また、状態不安や主観的幸福感では条件の効果は認められなかったが、抑うつでは介入前に比べて介入後に有意に下がることが確認された。なお、伝達媒体条件の1回目の実施において、抑うつ得点に対して伝達媒体条件×記述内容条件×介入条件の交互作用傾向が認められた。すなわち、肯定的内容では日記でもブログでも抑うつ得点は介入後に低下するが、否定的内容ではブログでのみ抑うつ得点は低下するが、日記では逆に上昇する傾向が示された。 これらの結果は、日記とブログを心理臨床場面で活用する際の基礎データとして役立つであろう。
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