2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530619
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
織田 信男 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (80250645)
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Keywords | ブログ / 自尊感情 / 主観的幸福感 |
Research Abstract |
肯定的な内容を筆記する日記では抑うつ度が低まり(織田,2009)、肯定的な内容を記し、肯定的なフィードバックを受けとるブログを1週間筆記すると抑うつ度は有意に低くならなかったが、4週間続けると不安が低まることが示された(織田,2010)。日記でもブログでも肯定的内容の筆記が否定的感情を弱めることが示されてきたが、本研究では肯定的内容のブログ筆記が自尊感情や主観的幸福感といった肯定的な感情や認知にも影響を及ぼすかを検証する。 対象者は、大学1年生で新しい抑うつ性自己評価尺度(島・鹿野・北村・浅井,1985)が16点以上の27名(男性8名と女性19名)。実験デザインは、フィードバック条件(フィードバック無/フィードバック有)×測定時期(介入前/介入1週間後/介入2週間後/介入3週間後/介入4週間後/介入約2ヶ月後)の2要因混合計画。 自尊感情尺度 フィードバック条件(2)×測定時期(6)の混合モデルの分散分析を行った結果、主効果と交互作用は認められなかった。有意な差が示されたのは、対応のあるt検定によるフィードバック有群での介入前と介入4週間後の間であった。したがって、自尊感情といった自己評価を高めるためには肯定的内容の筆記だけでなく、肯定的なフィードバックを少なくとも1ヶ月ほど続ける必要があることが示唆された。 主観的幸福感尺度 フィードバック人数条件(2)×測定時期(6)の混合モデルの分散分析の結果、有意な差は認められなかった。統計的に有意な差が示されたのは、対応のあるt検定によるフィードバック有群での介入2週間後と介入4週間後、介入3週間後と介入5週間後の間であった。肯定的な認知的変容が起きるまでには1ヶ月よりも長い期間の介入が必要と思われる。 一連の研究結果から、肯定的内容のブログは筆記者の肯定的な感情面や認知面よりも否定的な感情面により効果があることが示唆された。
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