2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530620
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
岡田 智 共立女子大学, 家政学部, 専任講師 (10458862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 深雪 植草学園大学, 発達教育学部, 准教授 (90449976)
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Keywords | 心理アセスメント / WISC-III知能検査法 / 再評価信頼性 / 発達障害 / 認知特性 |
Research Abstract |
WISC-IIIをはじめとする発達検査はその性格上、被験者が検査問題を覚えていて、練習効果が生じる可能性があるため、適切な間隔を置かない場合、結果が上昇してしまうことがある(Kaufman、1983)。そこで本研究では、臨床的に意味のある再評価のあり方を追究し、発達障害の子どもたちへの効果的な介入の方向性を提示するために、これまで以下について研究を実施した。 広汎性発達障害および多動性障害のWISC-III IQ、群指数、各下位検査の得点の変動および再検査安定性について調査し、障害特性との関連で分析を加えた。これらの研究は、児童青年精神医学会」の研究誌に昨年度、掲載した。ここでは、検査の数値のみでは、再評価データの解釈は難しく、子どもの行動観察情報、他の検査結果との整合性などをみていく必要性が課題として挙げられた。 この結果をうけて、発展的研究として、現在、2007年秋に新しく開発されたDN-CAS、WISC-IIIの両方のデータを収集し、WISC-IIIでは補えきれない認知領域の評価のあり方を検討した。広汎性発達障害においては、DN-CASの結果は、「プランニング」「注意」「継次処理」「同時処理」の4因子が因子分析で得られ、また、処理速度と「プランニング」「注意」の高い相関関係が得られた。WISC-IIIとDN-CASを検査バッテリーさせることで、広汎性発達障害の子どもの認知の特異性を把握できることが示唆された。この経過については、2010年度の日本LD学会で発表した。 今後の課題としては、WISC-III(IV)解釈のための行動観察フォームの開発と統計検討、2011年にWISC-IIIの改定版であるWISC-IVが出版されたことをうけて、WISC-IVについての臨床適用の検討の2点が挙げられる。
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