2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530640
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
石川 利江 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (20222979)
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Keywords | 生活習慣病 / サポート / 精神的健康 |
Research Abstract |
重篤な生活習慣病といえる心疾患・がん患者において生活習慣を変容することは極めて重要である。本年度は、健康行動変容が特に重要な対象において他者へのサポートの授与、他者からのサポートの授受、そして健康感の現状とそれらの関連性について検討し、サポートの授受・授与の果たす役割を明らかにすることとした。 調査対象者は心疾患患者516名、がん患者233名、健常者625名であり、Web上での調査を行った。 その結果、がん患者においては、サポート授受・授与が高く、心疾患患者は低いと感じていた。サポートの授受という点で,重篤な疾病を有する患者群の方が健常者群よりも多く受けていると評価するのではないかと予想されたが,心疾患患者群は健常者群よりも有意に少ないと捉えていた。また、健康行動へのサポートの影響は示されず、精神的健康に対しても、サポート授与は有意な効果を示さなかったが、情緒的サポートの授受は有意な効果を示した。情緒的サポートの授受の効果は、健常者群では,有意な効果はあるものの弱い効果であったのに対し、心疾患患者ではその影響力は大きかった。心疾患患者の情緒的サポートの得にくさをいかに解決していくかが彼らの精神的健康の向上には重要と言える。近年タイプD行動パターンという社会的抑制と不快な気分の継続が心疾患と関連するという研究が提出されている(Denollet,2005)。これらの特徴がサポートの授受・授与を低下させるように作用している可能性がある。一方、がん患者においてもタイプCという感情抑制の行動パターンと疾患との関連性が指摘されている。これらのことから感情表出の方法、人との関係の取り方、相手の行動の認知の仕方などを含んだ認知行動コーチングなどの介入が精神的健康向上のために検討されるべきであろう。
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