2008 Fiscal Year Annual Research Report
過酷な体験の語りが支援者/研究者に与える心理的影響
Project/Area Number |
20530647
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山口 智子 Nihon Fukushi University, 社会福祉学部, 准教授 (00335019)
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Keywords | 語り / 被害者支援 / PTSD / 面接法 / 質的研究 / ライフレビュウ |
Research Abstract |
初年度の研究計画は、1.先行研究の検討(文献研究)、2.支援の実践状況の情報集約とフィールドの確保、3.支援者に与える心理的影響についての研究計画の具体化・精緻化、4.研究者に与える心理的影響についての検討であった。 1については、(1)PTSD(外傷後ストレス障害)や被害者支援関係の文献収集、(2)調査方法として面接法を用いた質的研究、(3)質問紙調査で用いるPTSDのチェックリスト、(4)PTSDの重篤度について観察方法について、情報収集を行い、研究の方向性を検討した。(2)については、図書『自己心理学1:自己心理学研究の歴史と方法』に「面接法を用いた質的研究」をまとめ、面接法を用いた質的研究の可能性と危険性について論じた。 2については、民間の支援団体において、臨床心理士として、「犯罪被害者の心理」の講義などを行うとともに、裁判への付き添いなど犯罪被害者への直接支援を行っている支援者との交流をはかった。また、幼少期の外傷体験が対人緊張に影響していると考えられる事例の心理面接について、語りに関する研究会で検討を行った。 3については、1および2をもとに検討し、次年度は、犯罪被害者支援を対象とした質問紙調査や面接調査を行う方向で検討している。 4の研究者に与える心理的影響については、情報収集を行った。裁判員制度の導入など現実的な要請としては、支援者への心理的影響を優先する方向で、研究を進めている。
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