2009 Fiscal Year Annual Research Report
過酷な体験の語りが支援者/研究者に与える心理的影響
Project/Area Number |
20530647
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山口 智子 Nihon Fukushi University, 社会福祉学部, 教授 (00335019)
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Keywords | 語り / ナラティブ / 犯罪被害者支援 / 研究者 / 心理的影響 |
Research Abstract |
本年度当初の研究計画は、1.支援者を対象として、過酷な体験の語りを聴くことの心理的影響について調査を行うことであった。また、研究者への心理的影響については22年度以降に検討する予定であったが、支援者について十分な検討を行うために、2.研究者への心理的影響に関する検討も始めた。 1の支援者への心理的影響については、(1)犯罪被害者に関するものとして、(1)PTSD(外傷後ストレス障害)や被害者支援関係の文献収集、(2)被害者に対する心理面接の実施、(3)支援者に対する個人スーパービジョン、事例検討会でのスーパービジョンの実践を行っている。また、(4)DV被害者の支援者に対する面接調査を計画し、研究協力者を募集した。22年4月に面接を実施する予定である。 (2)認知症高齢者の支援に関する知見を、大学の心理臨床センター紀要および研究会の紀要としてまとめた。ここでは、高齢者の語りを聴く2つの視点として、未解決の葛藤に着目するライフレビューの視点と物語の視点を挙げ、特に、後期高齢者、認知症高齢者に対しては物語の視点が重要であることを指摘した。これは近年、エリクソンの第9段階に指摘とも関連すると考えられる。 2の研究者への心理的影響については、日本発達心理学会第21回大会において、「過酷な体験の語りの聴き手/研究者であること」を他の研究者と共同企画し、話題提供として「犯罪被害者の語りの力:インタビューをしないという選択」の発表を行った。急速な犯罪被害者支援状況の変化と被害者の生々しい語りが研究者に与える心理的影響(代理受傷を含む)について論じた。
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