2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530654
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 純一 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 教授 (40091409)
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Keywords | 言語理解 / 認知過程 / 非字義的意味 / fMRI / アイロニー / 意図 |
Research Abstract |
人間は発話の言語表現に籠められた話者の意図を理解できる場合があるが、そのような理解が、脳内での処理過程において言語特有の処理として達成されているのか、それとも、より一般的な認知処理の結果として達成されているのか、という問題は、未だ明らかにされていない。本研究では、発話の非字義的な理解がなされるときの脳活動を、字義的な理解が達成されるときのそれと比較しつつ観察することで、言語コミュニケーションにおいて達成されている"理解"のどこまでが言語特有のものであるのか、逆に言えば、どこからがより一般的な推論や思考の機能と関わりで達成されているのか、について考察を進めてみようとするものである。初年度である本年度は、ある発話の意味が字義的にではなく、"アイロニー"として理解される場合の条件、および、"アイロニー標的者"を誰と捉えるかがどのように決まるのか、について実験的に検討した。また、与えられた発話に対する脳活動が、発話が字義的に理解される場合と比べて、アイロニーとして理解される場合に、どのように異なるかを、fMRI装置を用いた実験の結果から検討した。字義通りの意味を超えた理解に関わる神経基盤については、当初、脳損傷患者による研究から提出されてきたが、一貫した結果は得られていない。また、近年、健常者を対象とした研究も、二、三見られるようになって来てはいるが、これまた非字義的な理解に関わる神経基盤を明確に示唆する知見は得られていない。このような研究状況を踏まえ、本研究では、来年度以降も、同様の実験的作業を通じて、非字義的理解に関わる脳内メカニズムについて解明を進めていく。
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Research Products
(5 results)