2009 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系がコントラストを検出する際の検出鋳型に関する研究
Project/Area Number |
20530655
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
阿久津 洋巳 Iwate University, 教育学部, 教授 (10374860)
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Keywords | 空間周波数 / パターンの検出 / off-frequency / 空間的重み付け関数 / 視覚情報処理 |
Research Abstract |
本研究は、環境内の物体を認知する視覚情報処理のうちパターンの検出に関わるコントラスト検出過程に対する理解を深めることを目的としている。具体的には、コントラスト検出メカニズムの一端(空間的重み付け関数(spatial weighting function))の解明を目指す。 平成21年度の目的は、前年度に引き続いてoff-frequency lookingを検討することであった。Ideal observerは、情報量が多い周波数帯域にweightをもった鋳型を使う(off-frequency looking)ことが、理論的に示されている。人の観察者でも、視覚刺激のtargetとnoiseの空間周波数が重なると、被験者はtargetの周波数から少し外れた(noiseの影響が少ない)周波数をモニターしてtargetの有無を判断する(Off-frequency-looking)ことが先行研究によって示されている。しかし、Off-frequency lookingが成立する条件は限られているようである。検出課題で用いられる空間的重み付け関数を推定するために心理物理学的実験を行い、Off-frequency lookingの事実をより直接的に検証しようとした。 Target patternmの空間周波数をいくつか変えて実験を実施した。実験結果は、前年度の結果を確認した。すなわち、Off-frequency-lookingは起こらず、観察者はノイズの周波数帯域にweightをもった検出鋳型を使うことが繰り返し示された。また、低周波数のノイズと中程度の周波数のノイズを比較すると、ノイズの影響は対称的ではなかった。これらの結果は、人のパターン検出に関する新たな知見であり、理論的解釈を検討中である。
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