2010 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系がコントラストを検出する際の検出鋳型に関する研究
Project/Area Number |
20530655
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
阿久津 洋巳 岩手大学, 教育学部, 教授 (10374860)
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Keywords | 空間周波数 / パターンの検出 / off-frequency / 空間的重み付け関数 / 視覚情報処理 |
Research Abstract |
本研究は、環境内の物体を認知する視覚情報処理のうちパターンの検出に関わるコントラスト検出過程に対する理解を深めることを目的としている。 平成22年度は、前年度に引き続き、ノイズを重ねた空間grating patternを検出する際の方略を検討するためにgrating patternの検出課題を繰り返し実行し、パターン検出に用いられる鋳型(classification image)を推測した。検出すべきパターンを明示されて課題を遂行しても観察者は、off-frequency lookingの方略を取らないことがclassification imageから確認された。観察者が用いるcassification imageはノイズの周波数特性を反映して変化するが、興味深いことに、ノイズのコントラストが高い周波数の方に偏ったclassification imageを使っている。 off-frequency lookingの方略は理想的観察者に基づいて想定されている。人の観察者が理想的観察者と異なる方略を示した先行研究の1つ(Abbey & Eckstein,2006)は、視覚情報処理の早い段階(空間周波数フィルター以前)における非線形的反応と位置の不確定性があるために人の観察者の方略(classification image)が理想的観察者と異なる、と推測した。本研究で得られた観察者のclassification imageは、この先行研究の理論的推測とは一致しない。むしろ、周波数フィルターの出力が非線形の伝達関数(non-linear transducer)を経てコントラストpatternの検出に使われると仮定する(例えば、Legge & Foley,1980)理論の方が結果をうまく説明できそうである。ただし、位置の不確定性の要因は、人の観察者では働いていると推測できる。研究を完成するために、数値シュミレーションを準備中である。
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