2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530656
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 祥一 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90117656)
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Keywords | 注意 / 作業記憶 / 執行機能 / 干渉抑制 / 個人差 |
Research Abstract |
平成20年度の研究では、注意の個人差と作業記憶の関係を包括的に検討することを目的に、従来の注意研究で用いられてきた複数の能動的注意課題と作業記憶との関連を検討した。実施した課題は、言語性作業記憶(リーディングスパン)課題、Posnerタイプの空間的注意課題(中心手掛法による能動的な注意移動を測定する)、vigilance課題(注意の維持を測定する)、flanker干渉課題(反応と競合する両脇のノイズ刺激による反応時間増加の程度を調べることで干渉の抑制能力を調べる)、それに課題切り替え(複数の課題間で注意を切り替える)であった。これらの相関を予備的に検討してみたところ、空間的注意の効果量(invalid RT-valid RT)と他の課題との間に有意な相関はみられず、これらの能動的注意を必要とする課題が、相互に独立であることが伺えた。唯一、相関が見られたのは、SOAが100msの時の空間的注意機能の程度(invalid RTとvalid RTの差分)とflanker課題でのノイズ刺激とターゲットの間隔が最も広い条件での干渉量が、r=-.33となった点であった。このことは、注意を素早く指示された位置に向ける能力が高いほど、両脇のノイズ刺激からの干渉を受けにくいことを示している。これは、注意の能動的移動能力の個人差を半値井下者と考えられる。 ただし、課題切り替えは、装置の不具合でうまくデータが分析できなかったことが反省材料で、この実験は今年度新たに装置及び課題を改良して実施する。
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