2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530656
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 祥一 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90117656)
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Keywords | 注意 / 作業記憶 / 執行機能 / 干渉抑制 / 個人差 |
Research Abstract |
実験参加者に対し、Posnerタイプの空間的手がかりを用いた能動的注意課題(凝視点付近に矢印を提示することで、左右いずれに反応刺激が提示されるかを示す)と自動的注意課題(ターゲットが出る位置に置かれた四角の箱の輝度変化により注意を捕捉する)に加え、言語性作業記憶と視空間性作業記憶を測定する課題を課し、2つの作業記憶課題の成績に応じて、中央値により2つの群に分け、空間的手がかりの効果が2つの作業記憶の容量により異なるかどうかを検討した。 その結果、能動的注意(内発的注意制御)では、言語性作業記憶の成績と注意の効果量(有効試行と無効試行の反応時間の差分)との間にはr=0.3程度の有意な負の相関が見られた。これは、予想とは異なり、言語性作業記憶の成績がよい被験者では能動的な注意制御はむしろ悪い(効果量が小さい)ことを意味している。これに対し、視空間性作業記憶と能動的注意での効果量との相関は有意ではなかった。また、自動的な注意の制御では、手がかり提示からターゲットの提示までの時間間隔(SOA)が短く注意の捕捉が起こるとされる条件でも、SOAが400ms以上で復帰抑制が起こるとされるSOAでも視空間性作業記憶の成績との間でやはりr=0.3程度の有意な負の相関が見られた。しかし、能動的な注意制御と異なり、言語性作業記憶との関連は見られなかった。ここでも、作業記憶の成績は、むしろ自動的な注意の効果が低いことを示している。 同時に実施したStroop課題での反応エラー率と言語性作業記憶の成績が相関したことから伺える。Stroop作業でのエラー率は、作業記憶の高い実験参加者ではこれが低い実験参加者に比べて少ないことが先行研究から、また我々の以前の研究からも明らかになっている。従って、上記の空間的注意課題との相関が今回の課題や実験参加者に特異的な結果ではないものと思われる。
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