2008 Fiscal Year Annual Research Report
指差し行動(ポインティング)の初期過程の解明:2原点仮説の検討
Project/Area Number |
20530661
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
下野 孝一 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 教授 (70202116)
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Keywords | 指差し行動 / 他者 / 方向判断 / 多種感覚統合 / 視覚フィードバック |
Research Abstract |
人間が視覚的に方向を判断することは、両眼視方向原理としてまとめられてきた。しかし最近、従来の視方向原理では説明できない現象も報告されている。本研究の目的は、視方向原理が、どこまで拡大可能かを探ることであった。われわれはまず、視覚定位指差し(visually-directed pointing)の際の方向原点はどこにあるかという問題について研究した。われわれは、視覚定位指差しでは視覚原点が、触運動定位指差し(kinesthetically-directed pointing)では触運動原点が使われているという2原点仮説(Shimono et al. 2001)の予測を調整法で測定した。結果は、ほぼ予測どうりであったが、正中面からより遠くの対象(特に右手で左の対象)を指差しする場合に予測から逸脱した。その逸脱の方向はより、実際の対象の方向に近かった。このことは、指差し行動時も位置恒常性が働いていることを示唆している。本結果は2009年度のECVPで発表予定である。次にわれわれは、他者がある対象を指差しているとき、視方向の概念が適用可能かという点に関して実験を行った。被験者は実験者が指差した対象の位置を答えた。われわれは被験者の反応から、被験者が暗黙裡に仮定しているだろう方向原点位置と実験者の実際の方向原点位置を推定した。その結果、それらの位置は非常に近かった。このことは、被験者が実験者の原点位置を何らかの方法で斟酌している可能性を示唆している。この結果は、日本心理学会で発表した。われわれはまた、両眼色知覚や、生態学的運動知覚に関する研究を行い。それぞれ、Vision Research誌、日本基礎心理学会で発表した。
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Research Products
(3 results)