2009 Fiscal Year Annual Research Report
指差し行動(ポインティング)の初期過程の解明:2原点仮説の検討
Project/Area Number |
20530661
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
下野 孝一 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 教授 (70202116)
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Keywords | 指差し行動 / 他者 / 方向判断 / 多種感覚統合 / 視覚フィードバック |
Research Abstract |
われわれは,視覚定位指差し(visually-directed pointing,以下VDP)の際の方向原点はどこにあるかという問題について研究した。VDPとは、最初に視覚刺激を観察した後、その方向あるいはその位置を見えない手(あるいは指)などで指し示すことである。この際、手や指の方向、あるいは位置に関する視覚情報のフィードバックはない。われわれの研究は、Howardらの提案した2重原点仮説-VDPにおいては、視覚方向原点と触覚方向原点が使われ、その位置は互いに異なるという仮説-は不十分であり、「知覚系は方向知覚において物理変数ではなく知覚変数を利用する」(Gogel,1990)という考えを用いて修正すべきであることを示唆した。言い換えれば、われわれの研究結果は、VDPにおいて、刺激の絶対視方向は視空間において視方向原点から判断された後、触覚空間における触覚原点に"移動"されることを示唆した。本研究結果は2009年度のECVPで発表され、現在論文をPerceptionに投稿、改訂中である。次にわれわれは、2重原点仮説の予測について追加実験を行った。その結果、物理的には同じ位置にある視覚刺激と触覚刺激のそれぞれの絶対視方向は必ずしも一致しなかった。この不一致はわれわれの修正2重原点仮説の予測と一致した。われわれは、この結果を本年度に行われるAPCVにおいて発表予定である。われわれは、さらに視覚系の特性に関する研究-振動画像観察中の視覚的注意や両眼立体視を中心とした3D知覚に関する研究-を行い、日本航海学会誌、Vision誌、SD&2010A、3Dフォーラム、日本視覚学会、日本基礎心理学会で発表した。
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