2008 Fiscal Year Annual Research Report
公害・環境教育の成立史研究-四日市における公害教育の位相の検討をとおして-
Project/Area Number |
20530688
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
土井 妙子 Kanazawa University, 学校教育系, 准教授 (50447661)
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Keywords | 公害・環境教育 |
Research Abstract |
報告者は、これまで「四日市の公害教育」の戦後数十年間の変遷について、現地調査をもとに調査研究を行ってきた。この研究の視座を広げるため、20年度は特に「四日市公害史」全体から「四日市の公教育」を捉え直すことを研究目的とし、行政面や運動面の資料収集やインタビューを行い、検討した。行政面では、三重県レベルの資料収集と分析を行った。比較的収集しやすい機関から収集し、現在は県庁などにおいて年代の古い順から収集を継続しており、順に分析している。運動面では、裁判の際、被害者支援団体として最も力を発揮した四日市市職員労働組合が所蔵する公害関係資料をすべてコピーし、順に検討したり、関係者にインタビューしたりしている。業績としては、四日市公害全体にかかわる研究として、下記「11.研究発表」に記した共著に中間的な成果を出した。また、一橋大学の先生方との共著で、21年度刊行予定の『地球環境の未来を創造する』(島崎隆編、労働旬報社)への原稿を準備中である。公害激甚地に位置する四日市市立塩浜小学校の教育実践の変遷を、四日市公害史全体から捉え直す論文である。 21年度は、三重県に関する研究を継続するとともに、四日市以外の四大公害裁判のあった富山と水俣地域の「公害教育」について調査研究する予定である。このうち、報告者の居住する石川県のとなりの富山では、20年度に「日本環境学会」の大会が開催され、報告者は実行委員として活動した。この過程で、イタイイタイ病研究に係わっている地元富山の研究者たちと知り合いになれ、被害者団体とも交流したり、神岡鉱山の見学に行くなど、21年度の計画を先行的に実施しており、水俣も加えて引き続き研究を深化させたいと考える。
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