2009 Fiscal Year Annual Research Report
スウェーデンにおける民衆学校制度の成立・展開とスロイド教育
Project/Area Number |
20530689
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 悦生 Nagoya University, 教育発達科学研究科, 准教授 (40210629)
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Keywords | 民衆学校 / スロイド / スウェーデン |
Research Abstract |
本年度に実施した研究は、1842年以降1882年までの民衆学校の実態の変化とそれとの関係にけるスロイド教育の発展過程を検討するために、ストックホルムとイェーテボリにおけるそれらに関する資料の収集を行った。その資料を分析していくために、民衆学校の100周年を記念して企画された、『スウェーデンにおける民衆学校の歴史("Svenska folkskolans historia、III 1860-1900)』(1942年)を読み進めてきた。この文献は、教師の立場から見た民衆学校教育の発展が詳細に叙述されている。今年度にこの文献から判明した事実はいろいろなことがあるが、1860年代後半にストックホルムではメイェルベリが視学官となり、学校教育が無秩序な状況から秩序づけられ、その方向に大きく変化していったことである。スロイド教育については、ストックホルムでは1870年ごろから工場主がその導入を提案した教区がでてくる。その場合のスロイドは、初期のころは金属工業と関連する金属加工がその内容とされた。オットー・サロモンの教育的スロイドの理念が最初に取り入れられるようになったのは、1882年からで、その際に大きな役割を果たしたのが、フリーチューブ・ベリエであった。イェーテボリでは、1870年代後半から1886年までは、スロイドは職業教育的な目的をもち、木工、金工、製本技術などを教えていた。その後、オットー・サロモンの教育的スロイドの理念に基づいて、木工を中心としたものに変化していった。
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