2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530691
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白水 浩信 Kobe University, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90322198)
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Keywords | anima / animus / セネカ / ラテン語コーパス / イギリス家政論 |
Research Abstract |
本年度は、ラテン語コーパス(BTL-4)を活用し、「身体」と「心」に関連する語彙・用例を抽出、整理することに主眼がおかれた。とりわけ、「心」と関連が深い、ラテン語<animus>と<anima>を選択し、BTL-4に収録されている用例検索によるデータベース構築、さらに用例中における文脈、とりわけ動詞に注目して検討した。当初の予想どおり、<animus>と<anima>に限定しても、BTL-4から網羅的に抽出された用例をデータベースとして整理し、分析・検討することは膨大な作業を要する。そこで本研究の緒にあって、まずはセネカの著作群に的を絞って、データベース構築に取りかかることにした。結果、用例件数だけでも<anima>で150件程度、<animus>に至っては優に750件を越えることが明らかとなった。 これらをすべて、用例、屈折変化、作品、該当箇所ごとに整理し、必要に応じて日本語訳を付したものを一覧表として作成したことは本年度の大きな成果であり、次年度以降の研究の基盤としてその意義を強調したい。また具体的文脈を検討していくと、<anima>は専ら「生命(息)」という意味で用いられるのに対して、<animus>は「心(精神)」ひいては「知性」という範疇を構成し、セネカは<animua>のあり方に関しては如何ともしがたい、自然に相対するかのように為す術を多くは語らず、<animus>に対する配慮、鍛錬が盛んに議論されることと好対照をなしている。<anima>と<animus>、そして<corpus>の関係については、「ルキリウス宛書簡集」の58で詳細に議論されており、今後の本研究の展開にとっても極めて興味深い。 さらに本年度は、イギリス家政論データベースをも作成し古代一近代の身心観比較の一助とした。また医学史文献集成に収録されているマイクロフィッシュを焼付け製本し、次年度以降の分析・考察の便宜をはかり、準備を整えることができた。
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Research Products
(1 results)