2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530693
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
高旗 浩志 岡山大学, 教師教育開発センター, 准教授 (20284135)
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Keywords | 協同学習 / 学習集団形成 / 支持的風土形成 / 学習意欲 / 小中一貫教育 / 中1ギャップ / 経年比較 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は下記の5点であった。 1.国内外で先駆的な協同学習を実践し一定の成果を挙げている実践事例を収集する。 2.収集した事例を「学習者の自主性と協同性に係る効果」という観点から分析する。 3.1~2に基づいて、授業における協同事態を測定する尺度(調査項目)を構築する。 4.この尺度を用いた学習集団形成の分析を行うとともにその経年変化を測定する。 →特に同一母集団に注目し、その小学6年生から中学1年生の時期を挟んだ経年変化に注目する。 5.以上を踏まえ、協同学習の理念に基づく授業改善の技法を具体的に提示し、調査協力校に還元する。 このうち、1~3に基づいて、主に学級単位の学習集団形成度、支持的風土形成度、学習意欲形成度を測定する「学習集団形成度調査票」を作成し、3年の研究期間中に述べ32校(小学校18校、中学校13校、高等学校1校)、被調査者数4,530名(小学生1,426人、中学生2,667人、高校生437人)にのぼる調査を実施した。調査結果の分析から得られた主な知見は次のとおりである。 1.当該学級の学習集団形成度と支持的風土形成度、ならびに個々の児童生徒の学習意欲形成度との間には明確な相関が見られ、学年進行とともに上下することが判った。 2.特に小学4年生から中学3年生までの経年変化を折れ線グラフによって概観すると、学習集団形成度、支持的風土形成度、学習意欲形成度のいずれも、小学5年生をピークに下降に転じ、中学2年生で底を打ち、中学3年生で回復傾向を示すという、「逆S字」の形を示すことが判った。 3.グループ学習の授業スタイルを好む児童生徒は、学習集団形成度、支持的風土形成度、学習意欲形成度のいずれにも高得点を示し、逆に一斉授業形式や個別学習の形態を好む児童生徒は自らの学級に対して注ぐまなざしが厳しいことが判った。 なお、調査に協力を頂いた全ての学校に対して、学校ごとの分析結果と当該校における課題を整理した報告書を作成し、これを各校の校内研修の機会に研究代表者が赴いて報告し、当該校における学校改善・授業改善に資する知見を提供した。その詳細は別途編集した「研究成果報告書」に集約した。
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