2010 Fiscal Year Annual Research Report
政治・行財政改革下の教育政策決定構造と自治体教育行財政の変容に関する実証的研究
Project/Area Number |
20530720
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
小川 正人 放送大学, 教養学部, 教授 (20177140)
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Keywords | 地方分権改革 / 市町村合併 / 行財政改革 / 教育事務所 / 都道府県教育委員会 / 市町村教育委員会 / 教育行政の広域化 |
Research Abstract |
本年度は、地方分権改革の基本方向である基礎自治体(市町村)への権限移譲の在り方と、新しい都道府県(教育委員会)と市町村(教育委員会)の関係の在り方を探るために、都道府県の教育事務所を廃止した県の中から三県を対象に訪問調査(インタビュー調査)を実施した。教育事務所の廃止を対象にした理由は、これまで教育事務所が都道府県と市町村の教育委員会を密接に関係づけ、市町村教育委員会の支援・援助に留まらず、都道府県の教育施策を市町村段階で遂行していく重要な中間機関として機能してきたことを想起すれば、その廃止は、(1)基礎自治体への権限移譲の可能性とその在り方、(2)市町村の自立的教育行政と近隣市町村による広域的教育行政構築の可能性やその在り方、(3)都道府県による基礎自治体と広域的教育行政への支援・連携のあり方、という分権改革の進展に伴う新しい地方教育行政の将来像と課題を析出し検討するうえで重要な研究対象であると考えられるからである。 訪問調査(インタビュー調査)は、長崎県(県教育庁、長与町教育委員会、雲仙市教育委員会)、和歌山県(県教育庁、和歌山市教育委員会、広川町教育委員会、印南町教育委員会)、山口県(県教育庁、山口市教育委員会)の三県で3教育庁、3市教委、3町教委を対象に行った。訪問調査(インタビュー調査)の内容は、(1)各県における教育事務所廃止の背景と経緯、(2)教育事務所廃止後における県教委事務局組織の再編成と市町村教育委員会に対する支援・援助、施策の変化、(3)教育事務所廃止後における市町村教委事務局組織の再編成と市町村教育行政運営の変化、(4)教育事務所廃止後における近隣自治体による広域的教育行政の運営や連携・協力の動き、等を関係者にインタビューし必要な資料・データを入手した。それら内容の一部は、平成22年度科研費調査報告書『教育事務所廃止と地方教育行政一長崎県、和歌山県、山口県のインタビュー記録一』に収録している。
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