2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの義務教育における学力保障制度の改革に関する研究
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20530721
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤井 穂高 Tokyo Gakugei University, 教育学研究科, 准教授 (50238531)
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Keywords | フランス / 義務教育 / 学力保障 / 共通基礎 / 学校基本計画法 |
Research Abstract |
本研究では、フランスの義務教育の特徴である課程主義に着目し、1989年の新教育基本法成立以降の教育改革の政策動向と日仏における先行研究をできる限り総合することにより、次の3点、すなわち、(1)義務教育段階で習得すべき一連の知識技能であるとされる「共通基礎知識技能」のねらいと基本的性格、(2)特に中等教育における無資格による離学への対策、(3)特に初等教育における落第制度の機能と効果を明らかにすることを課題とする。初年度にあたる平成20年度では、当初はフランスにおける先行研究が最も厚い(3)を対象とする予定であったが、研究の順序性を優先して(1)を取り上げることとした。 フランスでは、2005年4月に「学校の未来のための基本計画法」が成立し、義務教育段階において児童生徒全員に共通に保障すべき内容として「知識技能の共通基礎」が定められた。第2次大戦後の教育改革により単線型の学校制度が成立したわが国とは異なり、フランスでは、分岐型の義務教育が改革されるまでに戦後30年を要し(1975年の「統一コレージュ」の成立)、さらにその後の30年間にわたり、義務教育の「共通教養」あり方は、義務教育の課題であり続けた。 では、なぜこの度の改革では「共通基礎」が定められたのか。この問いに応えるために、まず共通基礎の規定内容を整理し、次に義務教育における共通基礎を求める政策動向を跡付け、さらに、学校基本計画法の審議過程を素材としてその立法者意思を分析した。その成果は「フランスにおける義務教育の「共通基礎」の制定-その政策意図の分析-」として論文にまとめ、学会誌に投稿した。
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Research Products
(5 results)