2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの義務教育における学力保障制度の改革に関する研究
Project/Area Number |
20530721
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤井 穂高 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (50238531)
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Keywords | フランス / 義務教育 / 共通基礎 / 学力保障 |
Research Abstract |
今年度の本研究では、「前期中等教育修了国家免状」(DNB)の改革前の制度の概要を整理したうえで、これまでの改革案と評価を検討するとともに、「共通基礎知識技能」の制定に伴い改革された新しい制度の構造を明らかにすることを課題とした。その成果は次の通りである。 (1)従来のDNBの課題について、学校教育担当大臣に提出された1999年の報告書、全国教育課程審議会の出版物、学校評価高等審議会に提出された調査報告をもとに分析した。それにより、(1)義務教育終了時の国家免状として、必要な知識と能力の獲得を保証すること、(2)コレージュの各教科において、その後の多様な学習(普通教育と同様に技術又は職業教育)の成功に必要な「基礎の横断的な知識と能力」の獲得を保証すること、(3)生徒の成績の分析と学校運営に必要な情報と道具を各機関(様々な段階の)に提供することが課題であることを明らかにした。 (2)2005年の学校基本計画法による共通基礎知識技能とDNBの法定について、共通基礎に関する法規定、法律の「付属報告書」に見る共通基礎制定の趣旨、審議過程の分析を行うとともに、2005年から2010年までの政策動向を整理した。 (3)2010年年4月に発表された国民議会(下院)の調査報告をもとに、2005年法の施行後4年間の政策動向について、(1)国民教育省自体が「非協力的」と評価されるほど、改革が進んでいないこと、(2)学習指導要領において教科ごとに共通知識技能について配慮が不均一であること、(3)評価方法に対立が認められるなど、安定していないこと、(4)教員の無理解と負担感などの課題があることを明らかにした。 なお、本研究の成果の一部は日本比較教育学会大会で報告した。また、本研究の一環として、日本比較教育学会紀要及びフランス教育学会紀要に論文を発表した。
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Research Products
(4 results)