2011 Fiscal Year Annual Research Report
新教育行政基本法制下における地方教育行政改革に関する理論的・実践的研究
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20530728
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
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Keywords | 地方教育行政 / 規制改革 / 地方分権改革 / 教育自治 / 教育振興基本計画 / 教育改革 / 新自由主義 / 教育基本法 |
Research Abstract |
本研究は、新教育基本法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正によって形成された新たな教育行政に関する基本法制の下で、地方教育行政がいかに変質・変容するかを調査分析し、今後における地方教育行政改革の課題と問題点を解明しようとものであった。その際、本研究は都道府県における教育振興基本計画(新教育基本法第17条)に着目する研究計画を立てたが、都道府県における同計画の策定は大幅に遅れ、今日に至っても未策定の府県が存在する。このため、本研究も途中の年度においては研究計画の変更を余儀なくされたが、本年度は策定済みの計画を収集し分析した。 この分析を通じて次のことが明らかになった。 (1)いずれに都道府県の教育振興基本計画(名称は区々である)も、その施策実施の裏付けとなる教育予算の確保についてはほぼ沈黙していることである。この策定にあって都道府県財政を司る知事部局との折衝を行ったか形跡のあるものと、教育委員会単独で策定したものとがあるが、いずれの場合も教育財政の確保の点で同計画中の施策の実施について不確実性を残している。 (2)12の基本計画に、教育内的事項に踏み込んだ教育目標の設定が見られた。たとえば、国立大学入学者数(率)や全国学力テストにおける正答率などがその代表的な例であるが、ある特定の数値を上げてその達成を求める記述が見られた。教育振興基本計画が教育条件整備にかかる行政計画文書である点を踏まえれば、また教育と教育行政の峻別といった公教育の組織原理に照らして問題を含んでいる。
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