2010 Fiscal Year Annual Research Report
「放課後子どもプラン」の実態と地域における児童育成プログラムの開発研究
Project/Area Number |
20530730
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
松浦 善満 和歌山大学, 教育学部, 教授 (40243365)
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Keywords | 放課後子どもプラン / 放課後支援教室 / 学童クラブ / 子どもに居場所 / 中間世界 / 子どもの社会性 |
Research Abstract |
最終年度は22年度であったが東日本大震災等の影響で23年度に持ち越して研究を終了した。結果的には以下の3点の成果を得た。 第一に、学童クラブに通う子どもの社会性には、遊び経験を媒介とした子どもの相互コミュニケーションの育成がコアとして機能していることを明らかにした。他方、放課後子ども支援教室においても、学習課題中心ではない遊び活動に主眼をおいて活動する教室では、学童クラブと同様の傾向がみられたものの、そうでない教室においては、社会性のコアが十分に育成されておらず、集団準拠能力、規範形成力においても十分ではない状況が観察された。 第二には、放課後子どもプランにおいては放課後支援教室と学童クラブとの連携型の取組が有効であることを明らかにした。 第三には、子どもの放課後における居場所概念を中間世界概念に置き換えることにより、子どもの身体的、精神的余力・対応力・企画力の育成に資するプログラムを開発できることを示した。なお中間世界とは、社会学上の通念として使用される「国家と家族との間にある組織」という概念ではなく、正解・不正解、あるいは黒白といった二分化されない半正解、グレーな世界といった世界をさして「中間世界」として操作的に概念規定している。 この「中間世界」こそが今後の重要な研究領域であり、いじめ研究家の内藤朝雄がいうように「中間集団全体主義」化させるのかそれとも、子ども・大人が多様な関係性を取り結ぶコミュニティーを形成できるのかがポイントになる。本研究はこの問題の指摘にとどまったが今後の視座を提供したと考える。なお日本学童保育学会(2011年6月)に招待講演で報告をおこなった。
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Research Products
(4 results)