2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530733
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 源吾 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00178170)
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Keywords | 大学拡張運動 / W.ペパー / E.J.ジェームズ / R.T.イリー / C.R.バンハイス |
Research Abstract |
イギリスに淵源を有する大学拡張スキームがアメリカに紹介された後、アメリカナイゼーションの過程を経て、大学が担うべき「第三の機能」として受容され、定着をみていく過程を社会思想史的に考察した。今年度の研究成果は、次の3点に要約することができる。 (1)1890年代における初期大学拡張運動の生成過程の研究。 アメリカに紹介されたものの、多くの大学人は懐疑、もしくは批判的な眼差しを向けていた大学拡張に、積極果敢に挺身した一群の人びとは、ドイツ留学を経験した、一群の新進気鋭の社会科学者たちであったこと、さらに彼らは、往時、「ゆきすぎた個人主義」を正当化するのに与って力をもった社会的ダーウィニズムを問い直し、後の革新主義思潮へと繋がる思想傾向をもっていた事実をつきとめた。 (2)ウィスコンシン大学拡張がアメリカ型大学拡張のプロトタイプとなる過程の研究。 ある試みがプロトタイプたりうるには、同時代人から賛同をかちとり、支持されなくてはならない。そうした観点から、1906年に成立をみるウィスコンシン大学拡張が斯界でどのように理解され、評価されていたかを解明した。 (3)C.R.Van Hise Paper(立教大学図書館所蔵のマイクロフィルム30リール)を中心とする史料収集。 C.R.バンハイス(Van Hise,Charles Richard)は、学長たる職責のみならず、卓越せる思想家として、ウィスコンシン大学拡張の成立に重要な役割を果たした。そこで、数度にわたって立教大学に出向き、同大学図書館が所蔵するマイクロフィルム)から、大学拡張に関する書簡、報告書等の史料を抽出し、その分類と整理を行った。
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Research Products
(1 results)