2010 Fiscal Year Annual Research Report
占領期日本における学校経営参加組織の制度化過程に関する研究
Project/Area Number |
20530736
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平井 貴美代 山梨大学, 教育学研究科, 教授 (50325396)
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Keywords | 学校経営 / 経営参加 / 教育研究協議会 |
Research Abstract |
本研究が主として取り組んできた、1946年10月の通達による教育研究協議会の制度化プロセスと1948年に別の通達によって軌道修正された経緯については、GHQ/SCAP文書の解析を進めることでほぼ明らかにすることができた。日本の学校に長らく慣行として置かれてきた「職員会議」などの教職員の経営参加組織の起源とみなされている同制度は、実は教員再教育を目的として設置されたものであり、「学校長司会によらざる教職員の自主的な会合」にアドミニストレーション機能があるかのごとく運営されたことは、通達の意図的・無意図的な「誤読」によるものであった。さらに同制度の軌道修正には、学校管理の手引書作成の指導のため来日した米国の中等学校長が関与したことを示唆する資料を発見することが出来た。研究の開始当初想定していた労働政策との関連は、教育研究協議会の制度化過程にはほとんど見られなかった。むしろ第一次米国教育視察団報告書を「バイブル」として信奉したGHQ-SCAP、CIE教育課員の進歩的教育学思想にもとづく学校管理観の矮小性が、同制度導入によって引き起こされた教育現場の問題への早期対応を困難にしたというのが、本研究の最終的な結論である。 以上の研究経緯から、最終年度に予定していた占領統治下の企業等の労使関係の制度化過程との対比は必要ないと判断し、文献による研究にとどめることとした。本研究の課題全体に迫る口頭発表は予定通り2010年11月の日本学習社会学会大会で行い、論考は別の学会に投稿中である。掲載の可否は現段階では分からないが、いずれにしてもこの成果はかならず公表し、アドミニストレーションと参加との共益的な関係のあり方について、問題提起を行っていきたいと考えている。なお、研究の視野を教員再教育に広げる過程で得られた成果については、日本学習社会学会の学会誌に投稿し、掲載された。
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Research Products
(3 results)