2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・太平洋地域の大学院「人権プログラム」の学際的調査・研究
Project/Area Number |
20530746
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
阿久澤 麻理子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (20305692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 公士 神奈川大学, 法学部, 教授 (80145036)
窪 誠 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (10319577)
元 百合子 大阪女学院大学, 国際・英語学部, 准教授 (40411756)
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Keywords | 生涯学習 / 人権教育 / 高等教育機関における人権教育・研究 |
Research Abstract |
3ヵ所の現地調査と共に、研究会では3年の成果を踏まえ、アジア太平洋地域における人権プログラムの特徴、世界的な状況の中での位置付けを検討した。 現地調査は(1)北京大学(人権修士)(2)中国政法大学(人権法修士)、及び(3)EU内大学連携による、人権と民主主義・ヨーロッパ修士で実施。中国2大学は、ラウル・ウォレンバーグ研究所(両大学とも)やノルウェー人権センター(政法大学)との連携があり、修了生は裁判所、政府機関、学術機関、商業分野で活躍している。政治的、外交的にセンシティブな「人権」を、大学のプログラム設立・運営への援助を通じてポジティブに支援していこうとする北欧諸国の政策が背景にある。 ヨーロッパでは41大学が連携し、人権と民主主義の分野における研究者、政府/NGO職員等の専門家養成のための1年間のプログラムを提供し、学生はベニスにある「人権と民主化のためのヨーロッパ大学間連携センター」で半年の共通教育の後、残りを各大学で学び、共同学位を授与される。これをモデルに2010年からアジアでも人権と民主主義・アジア太平洋修士号プログラムがシドニー大学を中心に始まった。EUはこうした域内連携プログラムに人権と民主化支援の一貫として助成を行っている。 なお、国連「人権教育のための世界プログラム」第二段階は、「高等教育および教員・教育者、公務員、法の執行者、軍関係者」を焦点とし、大学をはじめとする高等教育機関の役割とともに、いわゆる公権力を有する人びとや専門家(特定職業従事者)の人権研修が重視されている。専門家の養成においても、大学の人権教育の役割は大きい。いわゆる一般教養、教員養成から始まり、発展してきた日本の大学における人権教育の今後にとっても、重要な視点である。 なお、年度末にとりまとめた報告書『アジア・太平洋地域の大学院「人権プログラム」の学際的調査・研究』は、問い合わせがあればpdfで送付可能である(akuzawa@gscc.osaka-cu.ac.jp)。
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Research Products
(7 results)