2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における保育者のライフヒストリーに関する研究
Project/Area Number |
20530748
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
岩崎 美智子 Tokyo Kasei University, 家政学部, 准教授 (90335828)
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Keywords | 保育者 / ライフヒストリー / 戦後日本 / 職業 / 生活 |
Research Abstract |
平成21年度は、各自の課題に即して以下の研究を行なった。1)方法論の検討-ライフヒストリーとライフストーリーとの相違(亀崎)、2)戦後混乱期の保母養成と草創期の保育所の状況-保母資格や講習会に関する歴史的資料の収集と整理、当時の保育実践の確認(松本)、3)保育者にとっての「戦中」と「戦後」の意味の検討(岩崎)などである。それぞれの研究成果が論文として大学の研究紀要に発表された。亀崎は、方法論としてのライフヒストリーとライフストーリーとが持つ共通点と相違点を、桜井厚の文献をてががりとして詳細に分析した。松本は、児童福祉法に示された理念が児童福祉の発展に寄与すると期待されたものの一般の人びとや保育関係者にまで浸透したとは言いがたいこと、戦後草創期の保育所が母親の就労を援助する役割を戦前の託児所から継承してきたこと、保母資格の規定によって保育現場の資格取得への意欲が高かったことなどを明らかにした。岩崎は、インタビュー対象者のなかで比較的年齢の高い4人のライフコースにおける(1)歴史時間(2)社会時間(3)個人時間を検討し、彼女らの語りに表れた戦争に関わる出来事や想いについて考察を加え、戦争による「喪失」から保育者として生きることによって再生を果たした女性たちの姿を描き出した。また、富田による保育者の専門性の研究も現在進行中である。詳しいケース分析は平成22年度におこなうが、中間報告書として、インタビュー調査を質問項目ごとに整理した事例集『保育者30人のライフヒストリー』(全422ページ)を刊行し、調査協力者(対象者と紹介者)に配布した。
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Research Products
(6 results)