2008 Fiscal Year Annual Research Report
「教育困難高校」の課題と支援のあり方-生徒の実態調査とその要因分析から-
Project/Area Number |
20530759
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Research Institution | Joshibi University of Art and Design Junior College |
Principal Investigator |
山田 朋子 Joshibi University of Art and Design Junior College, 教職課程, 准教授 (50331418)
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Keywords | 教育困難校 / 高校教育論 / 教育改革 / 学校経営 / 教育制度 / 学校支援 |
Research Abstract |
今年度の研究は、主に以下のように実施した。まず、当該の研究対象校へのアンケートおよび実態調査に必要となるデータを収集するため、国公私立の偏差値40以下及び60以上の高校を抽出し、各校のデータを入力、整理し、リストを作成した。次に、偏差値40以下の普通科高校に対して、進路状況、教育課程の編成、生徒の現状、生徒指導上の課題、学校の取り組み等の項目について、アンケート調査を実施した。ここから「教育困難校」が、学校外部に対して「教育困難」な生徒の状況を能動的に発信しづらい状況にあることが明かとなった。そのために生徒に対する適切な教育支援の必要性が外部に理解されにくくなり、十分な支援が得られないことが課題である。しかし、一部の高校では外部に対して学校の現状に理解を求める努力をしている姿勢も明かである。そのような当該校(長野県)への聞き取り及び授業訪問の調査を実施した。さらには、沖縄県において学校と連携した支援策を講じている地域NPO団を訪問し、聞き取り調査を実施した。この事例では、学校内に教師ではない「外部の大人」が入ることによって、学校内外が連携した生徒の育成と学校支援の可能性を見いだすことができた。さらには、アメリカ合衆国における学校改革の調査を行っている。地域の公立ハイスクールへの入学が無選抜であるアメリカの学校では、日本の高校改革でしばしば目指される「質のよい生徒」を集めることによる学校改善の手法を取ることは出来ない。多様な志願者が入学することを前提に「教育困難」な状況を克服し学校改善(生徒改善)に成功したと評価される事例校を調査することで、日本の「教育困難」な生徒そのものに対する有効な支援策への知見を得つつある。特にマイノリティがマジョリティを形成するハワイ州の独自性に着目した。翌年度以降は、国内での専門学科高校へのアンケート調査、国内外事例校への訪問調査を実施する予定である。
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