2010 Fiscal Year Annual Research Report
保育者の「気づき」と「配慮」の深化過程に関する研究
Project/Area Number |
20530760
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Research Institution | Ueda Women's Junior College |
Principal Investigator |
山口 美和 上田女子短期大学, 幼児教育学科, 専任講師 (80465856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 哲 福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (20352817)
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Keywords | 保育者養成 / リフレクション / プロセスレコード |
Research Abstract |
本研究の目的は、保育者が専門的職業人として熟練するにつれ、保育者の視点からの「気づき」と「配慮」がどのように深化・精緻化されていくのかを明らかにすることである。 平成22年度は、経験年数の異なる保育者が、保育場面をどのように観察し、解釈する傾向があるのかを明らかにすることを目的に質的調査を行った。まず、前年度までに収集した保育場面の映像資料の中から(1)教育実習生(U短大2年次生)による一斉活動(設定保育)の場面、(2)クラス担任による一斉活動の場面中に発生した子ども同士のいざこざの場面、(3)自由あそび中の子ども同士のいざこざの場面を取り上げ、その場面について、どのように解釈したかを尋ねる聞き取り調査を、幼稚園教諭及び保育者養成校に所属する学生を対象として実施した。さらに、その結果を参考に、質問紙による同様の内容の調査を行った。データを、経験年数8年以上の群(ベテラン群)、4~6年の群(中堅群)、1年未満(新人群)の群に分けた。上記三つの保育者群に学生群を加えた4つの群の回答(自由記述)の文章を切片化し、切片に含まれる言葉を付箋に書き出して類似のものを集め、カテゴリー名をつけて分類する手法(KJ法)を用いて分析したところ、(1)学生や新入保育者は、設定保育の場面においては保育実践の具体的な計画や方法に関心を持つと同時に、保育者の意図した活動に参加しない子どもの姿を否定的に捉える傾向があること、(2)経験年数が長くなるにつれ、子どもの育ちを長期的な展望で見る視点があらわれ、活動そのものよりもそこへ至るまでのプロセスや、目に見えない子どもの内面を理解しようとする傾向が強くなることが明らかになった。
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