2010 Fiscal Year Annual Research Report
在日中国人の子どもを取り巻く教育環境に関する調査研究
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20530763
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
周 飛帆 千葉大学, 言語教育センター, 准教授 (80270867)
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Keywords | 在日中国人 / 家庭の教育戦略 / 移民の家族関係 |
Research Abstract |
最終年度の今年では、これまでに行ってきた調査を継続した他、調査結果をまとめる作業をし、各種の研究会やシンポジウムに参加して、今後の一般化するための枠組みを作る作業をした。 調査では対象家族の継続調査を行い、また中国に帰国した4家族を新たに加えた。今年度では家族の教育戦略を実現する際に、家族メンバーに起きる意見の不一致を調整する家族機能に注目し、半構成の面接を行った。これまでの結果の一部を含めると、以下の成果があった。 (1)教育戦略の変化:教育戦略は移住・定住過程の段階に応じて変わる。教育戦略の形成には、基本的には親が中心となって策定されるが、実施するにはa親子間、場合によって拡大家族による合意がなされ、b家族が持つ経済的、社会的資本などの条件によって修正が加えられ実現するようになる。 (2)家族関係、家族の勢力構造の変化:来日することによって家族関係、とりわけ家族の勢力構造が大きく変わる。それにはa移住過程において起きる様々な問題局面を解決することで確立される0夫婦関係、b夫婦の従業形態、c人的ネットワーク、d親子関係が権威的なものか、「友達」関係のものかによって、類型化することができる。 以上の研究成果を踏まえて、来日者を中心に中国人移住者のa家族関係の変容、b家族の教育戦略、c上記二者の関係について考察をすすめ、さらに経済的、人的、社会的資本の保持からエスニック集団内の分化を追い、中国人移住者の実態を把握すると同時に、家庭と教育の視野から移民の生態を分析していく。
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