2008 Fiscal Year Annual Research Report
若年無業者問題の複合的構成の解明とオルタナティブな支援観の構築に向けた総合的研究
Project/Area Number |
20530781
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
山尾 貴則 Sakushin Gakuin University, 人間文化学部, 准教授 (80343028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村澤 和多里 作新学院大学, 人間文化学部, 准教授 (80383090)
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Keywords | 若年無業者支援 / ニート問題 / 引きこもり / 心理的サポート / 居場所づくり |
Research Abstract |
平成20年度の研究成果は次の2点である. 1.国内各地の若年無業者支援活動の調査 北海道札幌市の地域若者サポートステーション及び長崎県長崎市の地域若者サポートステーションにおいて,活動の沿革,特徴等について聞き取りを行った.この2事例は,若者同士のつながりを重視し,長崎の事例においては,我々の研究の主たる課題である「若者同士のつながりが若年無業者支援にとっていかなる意味を持つか」の解明にとっても参考になる「若者の集い」を実施している. 調査を通して,若年無業者支援活動にとってハードウェアとしての施設の構造が大きな意味を持つということが明らかになった.札幌市の事例においては勤労青少年ホームにおいて活動が展開されており,活動形態に応じて柔軟な施設利用が可能である.また,長崎市の事例においては前述の通り「若者の集い」が開催されており,若者同士のつながりを支えている.この試みの中で,就労へのアドバイスも行っている. 2.若者ミーティングの機能に関する心理学的・社会学的研究の深まり 研究者らは若者ミーティングにおける若者たちのコミュニケーションの様子,および心理面接における若者たちの語りを心理学的・社会学的に分析した.その結果,若者たちにとって若者ミーティングが傷ついた自己をいやす場となっていることが明らかになった. しかし同時に,他者とのコミュニケーションの深まりについては,それに不安を覚える若者もいることが見えてきた.その結果,若者ミーティングの活動にある種の停滞感が見られるようになってきた.この状況を踏まえ,他者とのコミュニケーションに慣れてきた段階での若者ミーティングのあり方をどのようなものにするかを今後考えなければならないことが課題として浮上した.
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