2008 Fiscal Year Annual Research Report
北東北における生活綴方教育実践に関する調査・研究-戦後社会科実践との関連から-
Project/Area Number |
20530795
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
土屋 直人 Iwate University, 教育学部, 准教授 (10318751)
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Keywords | 教育学 / 社会科教育 / 生活綴方 / 北方教育 / 教育実践史 |
Research Abstract |
本研究は、北東北の戦前生活綴方教育実践が戦後社会科実践の史的背景にあったという前提から、特に戦前・戦後の実践者の歩みに着目し、北東北という「地域の教育実践史」という角度から、「社会科前史」にあった戦前の生活綴方教育実践の実像を探り、あわせて彼ら個々の教師の内面に蓄積された理論を解明することを目指すものである。研究初年度の本年度は、「戦前」の生活綴方実践に着目し、以下の過程の調査研究をすすめた。第一に、文献による基礎研究である。戸田金一らの先行諸研究の検討とあわせ、主に以下の各実践者の実践の足跡と実際について、同時代及び後時代の著書・雑誌論文等を中心に講読し、基礎的事実を整理しつつその特質を分析検討することに努めた。(1) 青森 : 土岐兼房(『生活綴方と共に』1987)、三上斉太郎(『生活綴方運動の回想』1990)他。(2) 秋田 : 加藤周四郎(『わが北方教育の道』1979、他)、佐々木昂(『佐々木昂著作集』1982)、鈴木正之(『北方教育著作集』1992)他。(3) 岩手 : 石橋勝治(『戦前戦後を貫く民主教育実践の足跡』1972、他)、高橋啓吾(『生活綴方への回顧と今日性』1979)他。第二に、戦前の生活綴方教育実践に関する未発掘資料の収集・分析検討である。北東北3県内の各地域における実地調査、特に秋田大学附属図書館内「北方教育資料室」(図書館関係者等の協力をいただきながら)から、未検討の第一次史資料(地方教育雑誌記事、同人誌、学級文集、等)の探索・収集を行った。その上で、その一部について資料の分析・検討を実証的に行った。その成果の一端は、小論「1935年前後における北方教育運動の-断面-吉田農の-論稿から-」等において明らかにした。以後、関連文献目録を作成する予定である。なお、戦後初期を含め、戦前の生活綴方教育実践に関する聞き取り調査については、当時の関係者の探索が不十分に終わり未実行であるが、関係者の探索等を継続的に行い、聞き取り調査の実施と成果公表を行う予定である。戦前・戦後初期当時の実践の実態、各実践者のライフヒストリー、教師としての人物像やその足跡の実際について聞き取り、検討を進める計画を以後継続して立てたい。
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