2009 Fiscal Year Annual Research Report
北東北における生活綴方教育実践に関する調査・研究―戦後社会科実践との関連から―
Project/Area Number |
20530795
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
土屋 直人 Iwate University, 教育学部, 准教授 (10318751)
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Keywords | 教育学 / 社会科教育 / 生活綴方 / 北方教育 / 教育実践史 |
Research Abstract |
本研究は、北東北の戦前生活綴方教育実践が戦後社会科実践の史的背景にあったという前提から、特に戦前・戦後の実践者の歩みに着目し、北東北という「地域の教育実践史」という角度から、「社会科前史」にあった戦前の生活綴方教育実践の実像を探り、あわせて彼ら個々の教師の内面に蓄積された理論を解明することを目指すものである。研究2年目の本年度は、昨年度に引き続き、「戦前」の生活綴方実践に着目しつつ、あわせて戦後にも着目し、資料収集・調査等の作業を行なった。 第一に、文献による基礎研究を、昨年度に引き続き行なった。具体的に、戸田金一や村山士郎らの先行諸研究の検討とあわせ、主に以下の各実践者の実践の足跡と実際について、同時代及び後時代の著書・雑誌論文等を中心に講読し、基礎的事実を整理しつつその特質を分析検討することに努めた。(1)青森:鈴木喜代春、橋本誠一、嶋祐三、ほか。(2)秋田:鈴木正之、花岡泰雲、ほか。(3)岩手:吉田農、永井庄蔵、吉田六太郎、菅原恭正、ほか。 第二に、戦前・戦後の生活綴方教育実践に関する未発掘資料の収集・分析検討である。北東北3県内の各地域における実地調査、特に秋田大学附属図書館内「北方教育資料室」や山形県国民教育研究所資料室のほか、図書館関係者等の協力をいただきながち、未検討の第一次史資料(地方教育雑誌記事、同人誌、学級文集、等)の探索・収集を行った。その上で、その一部について資料の分析・検討を実証的に行った。その成果の一端は、小論「『イサワ教育こんわ会』の憲法科特設論について」(戦前戦後岩手の生活綴方教師・永井庄蔵の社会科・憲法教育論についての考察)において明らかにした。以後、関連文献目録を作成する予定である。 なお、戦前・戦後の生活綴方教育実践に関する聞き取り調査については、関係者の探索等を継続的に行い、聞き取り調査の実施と成果公表を行う予定である。戦前・戦後初期当時の実践の実態、各実践者のライラヒストリー、その足跡の実際について聞き取り、検討を進める計画を、研究のまとめの年となる来年度に継続して立てていきたい。
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