2011 Fiscal Year Annual Research Report
日独教師教育における学際的アプローチの比較研究-音楽とことばによる統合的文化理解
Project/Area Number |
20530804
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中地 雅之 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30250640)
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Keywords | 音楽科教育 / 教師教育 / 即興 / ことば / 国際研究者交流 / ドイツ語圏 / 文化理解 / 比較研究 |
Research Abstract |
23年度は、これまでに構築してきた教師教育における<音楽>と<ことば>による即興表現を通じた文化理解のカリキュラムモデルに基づき、日本およびドイツ語圏において実践および研究発表を行った。 7月にミュンヘン音楽・演劇大学のWolfgang Mastnak教授の協力を得、同大学とミュンヘンの小学校との共同による日本文化理解を目的としたプロジェクトを実施し、研究代表者が構想した日本の民話に基づくインプロヴィゼーション・シアターをGasteig Carl-Orff-Saalで上演した。 10月には、奈良教育大学で行われた日本音楽教育学会において、共同企画の中で理論的側面に関する口頭発表を行った。ここでは、日独比較音楽教育研究の視点から即興における、<音楽的イディオム>と<転換>に着目する必要性について言及した。教師教育の実践的側面では、東京学芸大学の授業「音楽教育特別研究A」にて様々な方法による即興の実践を前後期にわたり行った。 11月には、モーツァルテウム大学のロルフ・プラッゲ教授を招聘し、東京学芸大学において大学院生・学部学生が参加する各種セミナーを開催し、ドイツ語圏における<音楽>と<ことば>の関連性に関する知見を得た。 3月には、ザルツブルグ・モーツァルテウム大学においてMichaela Schwarzbauer教授の協力を得て、同大学学生と東京学芸大学学生との合同で日本の民話と音楽による即興のワークショップを行い、実践的モデルの検証を行った。さらに同大学で開催されたInternationale Gesellschaft der Polyasthetischen Erziehung(IGPE)国際学会において、東京学芸大学の学生と共に草野心平の詩によるインプロヴィゼーション・シアターを発表した。また合せて本研究で構築したカリキュラムモデルに関する口頭発表を行い、海外の研究者からのレビューを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教師教育における<音楽>と<ことば>の即興を通じた文化理解のモデルによる実践を、東京学芸大学(日本)、ザルツブルグ・モーツァルテウム大学(オーストリア)、ミュンヘン音楽・演劇大学(ドイツ)の協力を得て行うと共に、奈良(日本)およびザルツブルグ(ドイツ語圏)で開催された学会において研究発表を行った。また、これらの研究成果と関連した、実践モデル集を出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、最終年度にあたるため、これまでの研究内容を総括する。4月には、モーツァルテウム大学のBarbara Dobretsberger教授を招聘し、音楽分析学の視点からドイツ語圏の芸術音楽における音楽とことばの関係性に関する知見を得る。また、本研究に基づいた教師教育における実践的成果を、6月のシアターx第10回国際舞台芸術祭(東京)、8月に東京学芸大学にて開催される日本オルフ音楽教育研究会にて発表し省察する。さらに理論的な側面を、9月神戸大学にて開催される日本音楽即興学会における発表する。本年度中に、5年にわたる本研究の内容を集約した報告書の作成を予定している。
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