2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530812
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
茨木 智志 Joetsu University of Education, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (30324023)
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Keywords | 世界史教育 / 世界史教育史 / 歴史教育史 / 社会科教育史 / 戦後教育改革 / 高校社会科 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦後教育改革期において成立した世界史教育がいかなるものであったのかを総合的に解明することにある。具体的には1948年10月に設置が発表され、1949年4月から新制高校で実施された世界史について、多方面から分析することで、世界史教育が成立期に持っていた謂わば原点を明らかにする。これにより、世界史教育の意義を再確認するとともに、これからの世界史教育を検討するための共通認識の形成を目指している。そのため第一年目の2008年度においては、現在の世界史教育の動向にも留意しつつ、当時の世界史教育をめぐる背景の解明に努力した。なかでも「中央」(東京)に関わる資料収集と分析を中心とした。第一に、占領軍・文部省等の動向に関わる資料の収集を進めた。その分析により外国史教育・世界史教育の教育行政に関わる施策の変遷を整理し、今後の本研究の基礎とした。ただし、概要に留まる部分も多く、さらに収集と分析を進める必要がある。第二に、民間の教育団体、歴史教師、歴史研究者等による歴史教育・世界史教育に関わる当時の動向を示す資料の収集と分析に努めた。これにより制度が整わない中での世界史教育の実態、激動する世界情勢のもとで検討された世界史教育の理想に対する解明を進めた。第三に、この時期における世界史の検定教科書、正式な意味での教科書ではないが授業で使用された準教科書、参考書などの収集と分析を進めた。特に、成立期の世界史教育の実態を示す準教科書に対する情報は貴重なものである。そのため未完成ながら、その成果の一部を発表して批評を仰いだ。第四に、戦後の世界史教育に従事した人物にインタビューを行い、その記録を発表した。以上のような成果を得つつも、政策決定過程の十分な解明は果たせなかった。次年度の研究の課題としたい。
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